「君たちがいて僕がいる」

この言葉は、昨年の４月に亡くなられた吉本新喜劇を主とするピン芸人、チャーリー浜さんのギャグです。七三分けの髪型と黒縁メガネのスタイルでキザな役を演じ、代表的なギャグ「～じゃあ～りませんか」は昭和生まれの吉本新喜劇ファンなら誰もが知っているのではないでしょうか。

そのチャーリー浜さんの数々のギャグの中でも注目したのが「君たちがいて僕がいる」という言葉です。

仏教では「縁起法」という教えがあり「あなたは無数の縁によって存在しているのですよ」と教えています。縁というのはつまり条件であり、あらゆる条件が整って「今ここに私がいる」ということを教えています。仏教学の授業などでは、この縁起法をよく植物に喩（たと）えて教えてくださいます。一輪の花が咲くといっても、いきなり咲くわけではありませんね。一粒の花の種を栄養たっぷりの土にまいても、芽は出ませんよね。そうです、十分な水分が必要ですよね。さらに、大地から芽が出たとしても、お日様のひかりがなければ大きくなりません。いよいよ花が開こうとする直前で、たまたまお散歩に来たワンちゃんが、つぼみを食べてしまったら花を咲かせることが叶いません。この花の喩えを、私に引き当てて考えれば、野に咲く一輪の花も、私も同じだなと思います。この縁起法を聞くと、私自身も生を受けてからこれまで多くの出遇いによって育てられていることは事実であり、私を様々な場所で受け止めてもらい、励ましてもらい、支えてもらっていることも尊いこととして知らされていきます。仏教は「あなたは決して一人で生きているのではなく、多くの関係存在を生きているのですよ」と教えてくれます。

あらためて、チャーリー浜さんの「君たちがいて僕がいる」という言葉を聞けば、私が多くのいのちによって育てられ、あらゆる関係の中を生きている存在なのだということを教えられます。