2022年4月15日
三島 多聞 (高山別院輪番)
第66話 おもいやり算
インドの大詩人タゴールの詩を紹介します。
闇から光へ 不実から真実へ 死から不死へ 我を導きませ
この詩は時代や民族や宗教を問わず、人としての真実願求する世界です。これはあらゆる分野に共通する世界観です。「闇と不実と死」の世界では人間は生きていけません。生きる力をもらうのは「光と真実と永遠」です。これは太古の昔から、願い求め続けてきた「いのちの本能」です。
仏教では「闇と不実と死」を「地獄」と表現し、「光と真実と永遠」を「浄土」と表現してきました。あるとかないとかの次元で問題にすることではなく、人として求め願わざるを得ない世界としてあることです。だから、差別やいじめによって死を選ばざるを得ない人が出るということは、どこかが根本的に間違っていることを知るべきです。そういう社会を構成している一員として責任を感じます。幼児虐待、あおり運転、オレオレ詐欺などを見聞するとき、切実に光と真実と永遠のいのちを願わざるを得ません。
ではどうしたらいいか。つかみどころのない社会の責任にしたって、むなしくなるだけです。そこで心得次第ひとつで「光・真実・永遠」の実践ができる智慧を紹介します。
たすける(+)
ひきうける(-)
こえをかける(×)
いたわる(÷)
この言葉は高山別院本堂内の法語掲示で知った言葉です。この「おもいやり算」を実践していくと、自然に身に付き、互いに心を開いていく人格形成につながる。この言葉を我が家の便所に貼りつけたらいい。家族みんなが、必ずその言葉をしばらく見つめ、自分を振り返ることができる。
すでに各家庭に自問する時間と場所が設定してあります。