2026年2月15日
森 香里 (秋聲寺前坊守)
第188話 「○○対効果」
コスパ(コストパフォーマンス・費用対効果)という言葉が出てきて久しい。かかった費用・労力に対しての効果や満足の度合いを示し「良い・悪い」「高い・低い」をつけてその満足度を表す。同じ商品であれば1円でも安いものを探し、同じ値段であれば性能の高いものを求める行動はコスパに基づいているのだろう。タイパ(タイムパフォーマンス・時間対効果)は、費やした時間に対する効果や満足度を意味し、短時間で効率よく結果が得られれば「タイパが良い」となる。ショート動画の利用、倍速での動画視聴や時短調理など、短時間で満足な結果(情報)を得ることがそれに当たる。今ではスぺパ(スペースパフォーマンス・空間対効果)なる言葉もあり、限られた空間の効果的な活用でどれだけの快適さが得られるかを示し、住空間であれば1台で何役もこなす多機能家電やデットスペースの活用(隙間収納・壁面収納)などは「スぺパが高い」となるようだ。
コスパ・タイパ・スぺパは、効率的に満足や効果といった結果を得ることの指標にすぎないのだが、指標に「良い・悪い」「高い・低い」といった評価が付くことで「効率的・非効率的」の意味も付いてくる。だから私たちは、非効率的から効率的へ向かう行動をし続けてきたのだろう。しかし効率的が万能とは言えない。煮る・焼く・蒸す・揚げるの機能を持った調理器具は、鍋・フライパン・蒸し器・天ぷら鍋のそれぞれを持っていなくても1台ですべて調理可能であることがセールスポイントだが、1台では、煮る機能での使用中に他の機能(焼く・蒸す・揚げる)は使えないから、複数料理の同時進行ができない。また自分が購入した商品をより安価で売っている販売店を見つけてしまった時、後悔や残念な気持ちが湧いてきはしないか。効率的かに基準を定めて自分を仕分け、その仕分け先に一喜一憂してしまうのは、効率に縛られた生き方だからなのだろう。物の溢れた消費社会の現代を生きる私たちは、効率化を基準とすることに疑念が生ぜず、自分も他者も個別的で多面的でありその豊かさが認められないような無駄をなくす効率化に縛られる生き方を選ばされているのかもしれない。

