飛騨御坊・高山別院照蓮寺・真宗大谷派 岐阜高山教区 高山教務支所

ひだ御坊一口法話

2021年5月6日

三島多聞 (高山別院輪番)

第18話 鬼に金棒

この言葉は万全な状態、全く心配はないときに「もうこれで鬼に金棒だな」といったりする。

でも恐ろしい鬼が武器でも持ったらたまったもんじゃない。

本来鬼は怖いもんなんだ。そしてきまって家の中にいる。

だから「鬼は外」と鬼を外に追い払うことを試みる。

あまり「鬼じじ」とはいわないから、男の勝手な発想なのかなと思ったりする。

 桃太郎は鬼退治をしました。おもしろい言葉が別院の本堂内に掲示してあった。

「僕のお父さんは 桃太郎という奴に 殺された」立場によって鬼は入れ替わりする。

 赤鬼・青鬼がいる。赤鬼は「いかり」、青鬼は「むさぼり」をあらわしている。

ある男、地獄で赤鬼と青鬼にボコボコにされた。

その男は「なぜ僕を殴るのか」と真っ赤になって怒った。

すると、鬼たちは驚いた顔をして「お前が俺たちを作ったんでないのか」といった。

思いあたることがあってその男は真っ青になった。  

二人鬼がいるのではなく、一人二役の鬼になる。

 これらの鬼伝説から考えてみると、日ごろ仮面をかぶっていて気づかないけれど、

それぞれしたたかな「鬼」でないのかと気づいてくる。

これを念仏の教えから考えてみる。『正信偈』に行者正受金剛心とある。

金剛とはダイヤモンドのことで、石をも切る硬い石。金剛心とは念仏のこと。

アミダさまのこころのことである。この「金剛心」を「金棒」にたとえましょう。

縁によって赤鬼になったり、青鬼になったりすると、

瞬時に「ちょっとまて」と念仏の金棒が鬼をたしなめてくれる。

また怒ったあとでも反省を促してくる。

 これで私をいましめ修正していける万全の状態になる。

まさに「鬼に金棒」だ。鬼の住家は私の心の中。

だから私には念仏が絶対必要なんだ。

 理性や知性が「金棒」になると思っていたが、役に立たなかった。

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