飛騨御坊・高山別院照蓮寺・真宗大谷派 岐阜高山教区 高山教務支所

ひだ御坊一口法話

2024年5月1日

大泉 信吾 (明善寺住職)

第145話 合唱

 今年は国民文化祭が岐阜県で開催され、各自治体で色んな催しがあるようです。そんな中で、県全体で『千人の第九』の演奏会が企画されています。飛騨地区でも『ひだ合唱団』として、200人のメンバーで参加しようと2月に結団式を済ませ、毎月3回程度の練習を開催しています。『歓喜の歌』と呼ばれているベートーヴェンの第九ですが、歌詞には『全ての人は兄弟になる』や『抱き合え幾百万の人々よ、この口づけを全世界に』という言葉があります。ベルリンの壁が崩壊したのち、チェコスロバキアでは、革命の歌として演奏されたり、ベルリンでは、東西ドイツの融和として歌われたりしました。

 合唱(歌)って、年齢性別に関わらず、どなたでも参加できます。西洋の音楽は和音が中心にありますが、どれだけいい声の持ち主でも、他の歌声や伴奏を聴かなければ、いいハーモニーは生まれてきません。一人で二つの音を出す事は出来ませんし、お互いがお互いを認め合う世界があるのではないかと思います。

 ともすると、自分が正しい、相手が間違っている、自分に合わせれば良い、という世界に私たちは生きているのかもしれません。ただ、それはそれで尊重しつつ、相手の立場に立ってみる。第三者の視点で見ることも必要なのではないでしょうか。

 親鸞聖人は、

   『楽』(ぎょう)は、すなわちこれ欲なり、願なり、愛なり、悦なり、歓なり、喜なり、賀なり、慶なり。

とおっしゃっています。『音楽』とは、音の中に欲や、願、愛、悦、歓、喜、賀、慶があるのでは。と思います。

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