飛騨御坊・高山別院照蓮寺・真宗大谷派 岐阜高山教区 高山教務支所

ひだ御坊一口法話

2024年2月1日

日野 光洋 (桂林教会主管者)

第139話 火宅無常

 2024年1月1日夕方、突然の強い揺れに襲われました。修正会のお勤めを終え、ご門徒のみなさまと心新たに今年1年の歩みを確かめた矢先の出来事でした。車庫で片づけをしていると携帯から緊急地震速報のアラートが鳴り出しました。急いで外に出ると数秒後には大きな横揺れが始まりました。電柱も揺れ、住居も揺れています。何より恐ろしく思ったのは瓦葺の本堂が住居の倍は揺れているのではないかと感じるくらい大きく揺れていて倒れるのではないかと思いました。いざ強い揺れを感じると立ち尽くすしかありませんでした。揺れが収まり、車庫にあるテレビをつけると能登地方を震源とした地震であったと知らされました。津波警報も出ています。12年前の東日本大震災が思い出されました。被災したみなさまから防災の大切さ、いつ何が起こるかわからないという心の備え、多くのことを伝えられ、学ばせていただいていたはずなのに、立ち尽くすしかなかった自分でした。

 新年(1月1日)を迎えられることはめでたい事であるが、災害や事故にはカレンダーはないのだと実感させられました。

 親鸞聖人は「火宅無常の世界は、よろずのこと、みなもって、そらごと たわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします」と語っておられます。

 今、私が身を置いている世界はいつ何時でもすぐに崩れ去ってしまうような世界である。私が頼りにしているものはすぐに裏切って失われていくものである。私は常に心に不安を抱え、不安定な在り方、偽りの在り方に埋没しています。そんな私を安定した真実の在り方へ呼び覚まそうとはたらいてくださるのが阿弥陀如来の働きなのです。念仏のみぞまことでありました。南無阿弥陀仏

 

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