2023年3月24日
宮川 摩耶 (暎芳寺衆徒)
第115話 感情のふりこ
みなさん、感動して涙を流した時のように心動かされたと感じるのは、どんなときですか?
ダンスは身体と表情で感情を表現します。ミュージカルはダンスと歌で、読み聞かせは言葉で、俳優は演技で感情を表現し、多くの人の心を動かしています。
何年か前に通っていたダンススクールの先生に言われたことを思い出しました。
人生において感情の表現は「ふりこ」なのだと。
マイナスに感情が振れやすい人はプラスの感情が少ないのではなく、マイナス感情と同じだけプラス感情に振れる可能性があるのだということを。
感情表現を豊かにするには、マイナスな感情を経験することも大切だと教えていただきました。
嫌なことや、苦しいこと、やりたくないことから逃げて楽で楽しいことばかりやっていたのでは感情のない人間になってしまうのだから、落ち込んでもいい。失敗してもいい。目の前にあることに進んでチャレンジしなさいと言われ、納得してしまう自分がいました。楽しい中にもつらいことを経験することで、今までになかった自分を見つけることができるのではないかと思います。
人は生まれてきたときから自我を持っています。自分の意識、感情が出るのは生まれた時からありますが、自分という存在を認識するのは少し大きくなってからかもしれません。
はじめは泣き声と表情だけだったのに、大きくなるにつれ動きや言葉で感情表現できるようになります。私たちは好き嫌い、楽しい楽しくないと感じる自我を伸ばして大きくなっていきますが、必ず他者とぶつかります。私たちは一人で生きているのではなく、お互いが助け合って生きています。そのことが分かれば、若いときは感情を激しく、老いては感情豊かに人生を楽しく生きていけます。その中で仏教にふれ、親鸞聖人の教えに触れること、学ぶことが感情の表現のふりこを大きくするきっかけになるのではないでしょうか。
いくつになってもこの先、生涯を尽くして学べるべきものに出会った喜びを感じ、賜った命尽きるまで学んでいこうと思っています。