飛騨御坊・高山別院照蓮寺・真宗大谷派 岐阜高山教区 高山教務支所

ひだ御坊一口法話

2022年5月6日

森 恒河 (秋聲寺住職)

第69話 四門出遊

1225日は何の日?」と聞けば、多くの方が「クリスマス!」と答えられるでしょう。

では、「48日は何の日?」・・・そうです。皆さん大正解!お釈迦様の誕生日です。お釈迦様は今から約2500年前に、釈迦族の王子としてお生まれになりました。王子としてお生まれになったお釈迦様は出家され、やがて仏陀となられます。そんなお釈迦様が出家することを決められた四門出遊(しもんしゅつゆう)というお話があります。 

お釈迦様は王宮の中で生活をされていましたが、ある時にお供の者と王宮の外へ出かけられます。そして東門の外で老人に、南門の外で病人に、西門の外で葬式(死人)に出会われます。それぞれの門の外で老病死を目の当たりにされます。煌びやかな王宮の中では見ることのなかった光景です。老病死を目の当たりにしたお釈迦様は、自分も生きていればいつかそうなるのかと、老病死に加え、生きることの苦しみという四苦が我が身の事実であることに思い悩まれました。そしてある時、北門を出ると修行者に出会われます。修行者は、大変質素な見た目ではありましたが、その清らかなお姿に感動され、王宮の暮らしを棄て、出家を決意された、というお話です。 

お釈迦様が生きられた時代と比べると、私たちが生きる時代や環境は大きく変化しています。様々な技術の進歩により平均寿命は伸び、病気に効く薬が開発され、暮らしは大変便利なものになりました。では、私たち人間の苦悩はいかがでしょうか。歳は取りたくない、病気になりたくない、死にたくない、、、

当時、お釈迦様が向き合われた苦悩は、今を生きる私たちの苦悩と言えるでしょう。少なくとも2500年の間、私たちの苦悩の根は変わっていません。 2500年前にお釈迦様の説かれた教えは、当時の方々のためだけでなく、2500年後の今、この私のためにあるのです。 

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